2026年2月28日土曜日

令和7年度舞松原校区保健福祉事業懇談会に参加しました

 健康の定義が変わる?「タバコ1日15本」の孤独リスクを救う、地域の新しいつながり方

「最近、なんとなく体調が優れない」「将来、一人になったらどうしよう」……そんな、言葉にできない漠然とした不安を抱えてはいませんか?
私たちは「病気がないこと」を健康だと考えがちです。しかし、福岡市東区の舞松原校区(総人口11,667人、5,022世帯:令和7年9月現在)が進める取り組みは、その常識を心地よく覆してくれます。そこにあるのは、誰もが一人で悩みを抱え込まずに済むための、温かな「暮らしの設計図」です。
単なる病気予防ではない、人生の質(QOL)を豊かにする「新しい生き方」のヒントを、地域の保健福祉の最前線から紐解いていきましょう。
--------------------------------------------------------------------------------
衝撃の事実:孤独は「1日15本のタバコ」よりも有害である
健康診断の結果に一喜一憂するよりも、実は大切なことがあります。それは「人とのつながり」です。
最新の研究では、社会的な孤立による健康リスクは、1日15本の喫煙に匹敵するという驚くべきデータが示されています。これに対し、医療先進国のイギリスでは「社会的処方」という取り組みが始まっています。
社会的処方箋: 孤独は「1日15本のタバコ」よりも健康リスクが高いという研究結果がある。睡眠薬などの医療的アプローチだけでなく、地域の趣味のサークルや通いの場への参加が、孤立を防ぎ根本的な解決につながる。
例えば、眠れない時に睡眠薬を処方してもらうだけでなく、地域の囲碁クラブや散歩の仲間に加わることが、心身の不調を根本から癒やす「処方箋」になるという考え方です。薬だけでは埋められない「心の隙間」を、地域の中にある温かな交流が満たしていくのです。
病気があっても「健康」でいられる?ポジティブヘルスという魔法
次に紹介したいのが「ポジティブヘルス」という新しい概念です。これは、たとえ病気や障害を抱えていても、自分自身の状態をコントロールし、日々の生活に適応していく能力を指します。
自身の状態を以下の「6つの要素」で見える化する「クモの巣チャート(スパイダーチャート)」がその核心です。
  1. 体(身体の状態): 睡眠、食事、運動など
  2. 心(心の状態): 感情の調整、自分への信頼
  3. 生きがい: 人生の目的、価値観
  4. 暮らしの質: 健康的なライフスタイル、安全な環境
  5. 社会とのつながり: 人間関係、コミュニティへの所属
  6. 日常機能: 家事や仕事など、日々の活動能力
たとえ健診結果で、過去1〜2ヶ月の生活リズムを映し出す「HbA1c(血糖状態)」や、食事のバランスを示す「LDLコレステロール」の値が高く、通院が必要だったとしても、他の要素が充実していれば、その人は「自分らしく、健康に生きている」と言えるのです。従来の「数値に異常がない=健康」という枠組みを超えた、前向きな捉え方です。
「育児疲れ」の盲点:受診率100%の裏に隠れた親の悲鳴
地域の健康課題は、高齢者だけの問題ではありません。子育て世代もまた、孤立の危機に直面しています。
舞松原校区のデータでは、令和6年度の乳幼児健診の受診率はほぼ100%と非常に高い水準です。しかしその内実を見ると、1歳6か月児健診を受けた保護者の77.3%が「育児は疲れる」と回答しています。
データ上の「問題なし」の裏側で、親たちの心は悲鳴を上げています。こうした家族を孤独にさせないための仕組みが、2023年8月から始まった「福岡市おむつと安心定期便」*です。おむつという必需品を届けることをきっかけに、地域が「見守りの接点」を持ち、保護者の疲れにいち早く気づく仕組みです。
さらに、子育てサロン「てんとう虫」のような場所で、同じ悩みを持つ親同士が「疲れた」と本音を漏らせる環境こそが、心の健康を守る鍵となります。
「坂道」を越える地域の知恵:公民館から集会所へ
舞松原校区には「坂道が多く、公民館まで行くのが大変」という物理的な課題があります。特に対策が必要なのが、加齢により心身の活力が低下する「フレイル(虚弱)」予備軍の高齢者です。
そこで校区では、無理に遠くの公民館へ呼ぶのではなく、より身近な各町内の「集会所」へ活動をシフトさせています。
  • 物理的な距離を埋める工夫: 高見ヶ丘集会所などを拠点に、優しい声かけ体験会を活用して「歩いていける範囲」に集いの場を作っています。
  • フレイル予防の「3つの柱」: フレイルを防ぐには「運動」「栄養(お口の健康)」、そしてそれらと同じくらい重要なのが**「社会参加」です。「水谷すみれ会」**のような地域のサークルに参加し、誰かと笑い合うこと自体が、強力な介護予防になります。
  • 民間との連携: 民間のデイサービス事業者が、集会所での無償の体操指導を申し出るなど、公助だけでなく「共助」の力が最大の健康資源を生み出しています。
--------------------------------------------------------------------------------
結論:明日からできる「ポジティブヘルス」への一歩
健康とは、病院で見つけてもらうものではなく、地域での暮らしの中で自ら育んでいくものです。
道ですれ違う人に挨拶をすること。地域の役割を一つ持ってみること。これらすべてが、実はタバコをやめることと同じくらい、あなたの寿命と幸福度を延ばしてくれます。
もし今、あなたの「クモの巣チャート」で「社会とのつながり」の枝が少し短いと感じるなら、それは地域のサロンや講座という「社会的処方箋」を受け取るチャンスかもしれません。
あなたの「クモの巣チャート」で、今日一番輝いている要素は何ですか?
少し凹んでいる部分があったとしても、他の要素で支え合い、地域のつながりで補っていく。そんな「ポジティブヘルス」の視点を持つことが、健やかな明日への確かな一歩になります。

以下、報告書をご参照願います。

https://drive.google.com/file/d/1Wtd0B8E8KfXso5e_R37JhvIXzZBycfo1/view?usp=sharing