令和7年度 東区役所・東区自治組織会長会 合同研修会
演題:「未来を担う仲間を育てる 新たなコミュニティ運営の挑戦」
講師:水津 陽子 氏(合同会社フォーティR&C 代表/地域活性化・まちづくりコンサルタント)
0. いきなり結論(ここが講演の芯)
自治会は、もう「加入してもらうこと」をゴールにしない。
これからは、参加の入口を増やし、関係を切らさない=「関係人口」を増やす運営へ。
言い換えるとこうです。
「入る/入らない」より先に、
つながる/参加する/ちょっと手伝う を増やす。
1. なぜ自治会は“選ばれにくく”なったのか(要点3つ)
① 何をしているか知られていない(認知不足)
「自治会が何をしているか分からない」人が増え、
“入って当たり前”ではなくなった。
② “行政の依頼をこなす場所”に見えてしまう
本来は住民自治の組織なのに、
実態が「やらされ仕事」「役の押し付け」に見えると、距離ができる。
③ 役が重い/時間がない社会になった
高齢者も働く、女性の就業率も上がる。
昭和型(時間を出せる人前提)の運営は限界が来ている。
2. “令和型”コミュニティ運営:キーワードはこの4つ
(1) 加入より「参加の入口」
まずは参加。加入は後からついてくる。
(2) できる人が、できる時に、できることを(=小さく分ける)
- 30分だけ
- 当日受付だけ
- 写真係だけ
- 在宅で文面づくりだけ
…みたいに「役割を細かく切る」。
(3) “お客さん”を作らない(参加型へ)
イベントが「世話役」と「お客さん」に分かれると、地域の関係は育たない。
本当の目的は 顔の見える関係づくり。
(4) 抱え込まない(外の力も使う)
どうしても嫌われる役割は、有償化・外部委託も含めて現実的に検討する。
3. 具体策:人が入りやすくなる“入口”の例
講演で出てきた入口アイデアを、目的別に整理するとこう。
A. 「地域デビュー」入口(つながりがない人を迎える)
- コミュニティカフェ
- 健康チェック・フレイル体操
- 趣味サロン
- 子育てサロン
B. 多様な住民との関係づくり(マンション・外国人など)
- まず“知り合う場”を作る
- 「食」やイベントブース等をきっかけに交流する
- 外国人住民が多い地域では、通訳・翻訳などで役割を持ってもらう例もある
4. デジタル活用:大事なのは“双方向”より“設計”
啓治さんの地区の「安心メール(発信専用)」に近い考え方が講演でも語られていました。
- 基本は一方通行でOK(自由に発言させると疲弊・炎上しやすい)
- ただし意見が必要なときは、返信で受けない
→ アンケート機能等で回収が現実的 - 災害時は、情報共有(浸水状況など)に活かす例がある
つまり、デジタルは「導入」より運用ルールが9割。
5. 担い手育成の肝:子ども・学生を“未来の仲間”として見る
ここ、講演のタイトル回収ポイントです。
- 子ども・学生を「参加者(お客さん)」のままにしない
- 小さなボランティアから関わってもらう
- 成功体験(ありがとう、助かった)が積み上がると「もっとやりたい」が芽生える
→ 結果として、将来の担い手が育つ
6. 重要メッセージ(講演の背中押し)
自治会には「法律でこれをやりなさい」と決まっているものは基本ない。
だからこそ、
- みんなで大切だと思うことに集中する
- 負担が重いものは、やめる/縮小する/やり方を変える
この判断を、住民自治としてしてよい。

